10/10/2024
初めて訪れたのはいつのことだっただろうか。
その頃私は電車で30分かけて奈良まで散髪に行っていた。
コーヒーの世界にどっぷりと浸かったロココ(現ロクメイコーヒー)での話はまた別の機会にするとして、髪を切った後にほっこりする場所を探していた。
鄙びた商店街の2階にひっそりと佇む日本茶カフェ(残念ながら今は無い)も良かったが、ちょっと変わったお茶も飲んでみたいと足を伸ばしその店に入った。どうやって見つけたがもう忘れてしまったが、その雰囲気からすでに私好みの店であることは間違いなかった。
扉を開け一歩踏み入れる。そこには見たことの無い名前のお茶が所狭しと並び、柔和な顔の夫婦がカウンターの中で微笑んでいた。
選びきれないお茶の中から何かお勧めをと何杯か飲み、知らなかったお茶との出会いにニヤニヤしながら店を後にする、月に一回の楽しみが出来た。
店主自ら生産地に行き、納得したものしか店に置かない。
厳選されたお茶はそれぞれが個性的で輝いている。
たくさんの中国茶と選び抜かれた日本茶。それぞれの土地の岩石を集め、店で使う水を汲みに車で何時間も走らせる。拘りつくした店にはお茶を愛する人々が遠くから集まってきていた。
近年増えているお茶のイベントでも人一倍人気のブースで、お茶マニアで知らない人はいないだろうそのお店に私が作ったお茶が販売される。
こんな日が来ることになるとは、一体誰が想像できただろうか。
お茶の楽しさを伝えるプロになろうと思っていた私が、まさか生産者として憧れのお店の棚に並ぶことになるとは。
人生はわからないものだ。
ということで是非みなさん、買ってください。
宜しくお願いいたします。
サムライ茶人
岩本博義
京研283号は宇治の在来茶園から選抜された茶種で、品種未登録ではありますが、「みやまかおり」という品種の種子親にもなっています。新芽の緑の色味が強く、細寄れしやすい葉をしています。この茶園では2022年以降は.....