9/8(日)「文芸評論家と歩く 谷崎潤一郎の『吉野葛』」ツアー
9/8(日)「文芸評論家と歩く 谷崎潤一郎の『吉野葛』」ツアーを実施しました。
前日のイベントにも登壇いただいた安藤礼二さんの案内で、小説の筋の通りに川下から川上にかけて舞台となる場所をめぐりました。スペシャルゲストとして同じく前日に登壇いただいたいとうせいこさんにもご参加いただきました。
上市では旧伊勢街道の名残のある通りを歩きながら小説の概要についてお話いただき、そこから吉野川の河川敷に下って妹山・背山を見ながら『妹背山婦女庭訓』について解説いただきました。
菜摘の里では大谷家にお邪魔し、柿の木の前で「ずくし」の写真を見ながら『義経千本桜』に登場する「初音の鼓」についてお話をいただきました。
国栖の里では福西和紙本舗の6代目福西正行さんより、谷崎がこの地へ来られた当時の話も交えながら、作品にも登場する手漉き和紙の文化について説明をいただきました。
食事は柏木にある旅館・朝日館にて、しし鍋やアマゴの焼き物、柿の葉寿司など山の幸がふんだんに使用された御膳をいただきました。朝日館のすぐそばにあり、谷崎が泊まったと言われている川上ホテルの建物を見学した後、物語の最後となる目的地、入之波へ。主人公の友人が配偶者となる女性を連れて歩く吊り橋の代わりに架けられた入之波大橋を渡り、ツアーのフィナーレを締めくくりました。
『吉野葛』という谷﨑の代表作で文学史的にも重要な作品の舞台である場所を、時代を経たいま現代の作家と共に歩くことで、作品の解釈に新たな息吹をもたらすことができたような気がします。幾層にも折り重なる歴史を包含した吉野の聖